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院長ブログ
唾液のチカラ、知っていますか?〜口腔と全身の健康を支える“見えない守り手”〜
「唾液」と聞くと、地味な存在に思えるかもしれません。しかし実は、唾液は私たちの口腔環境だけでなく、全身の健康を守る“縁の下の力持ち”なのです。特に30〜60代の女性は、更年期によるホルモンバランスの変化などで唾液量が減りやすく、さまざまな不調を招くことも。今回は、唾液の働きとその大切さについて、わかりやすくご紹介します。
唾液とは?
唾液は、三大唾液腺と呼ばれる「耳下腺(じかせん)」「顎下腺(がっかせん)」「舌下線(ぜっかせん)」という組織でつくられています。唾液は一般に1日に1~1,5リットルも分泌されます。唾液の成分はほとんどが水分(99,5%)で、消化酵素のほかにナトリウムイオンやカルシウムイオン、重炭酸イオンなどが含まれています。
唾液の働き
唾液には、以下のような働きがあります。
● 消化のサポート
唾液に含まれる「アミラーゼ」という酵素が、食べ物の消化を助けます。特にごはんやパンなどの炭水化物を分解しやすくし、胃腸への負担を軽減します。
● 口腔内の自浄作用
食後、唾液が口の中を洗い流してくれることで、食べカスや細菌の増殖を抑えます。これは、虫歯や歯周病の予防に直結します。
● 抗菌・抗ウイルス効果
唾液にはリゾチームやIgA(免疫グロブリン)といった成分が含まれ、ウイルスや細菌に対するバリア機能を果たします。
● 歯の再石灰化を促す
唾液にはカルシウムやリンが含まれ、初期の虫歯(脱灰)を元に戻す「再石灰化」を促進。これにより、歯が自然に修復されるのです。
● 味覚の正常化と会話の円滑化
食べ物の味を感じるには唾液が不可欠。さらに、会話をスムーズに行うためにも潤滑剤として役立っています。
2. 唾液が減ると起こるトラブルとは?
唾液の分泌量が減ると、以下のような症状が現れやすくなります。
- 虫歯や歯周病が急に増えた
- 口臭が強くなった
- 食べ物が飲み込みづらい
- 舌がひび割れたり、口内炎ができやすい
これらは“ドライマウス”の兆候かもしれません。
3. 更年期と唾液量の関係
特に40代〜50代の女性に多いのが、更年期に伴う唾液分泌の低下。女性ホルモンのエストロゲンが減少すると、唾液腺の働きも鈍くなりがちです。
・「水を飲んでも口が乾く」 ・「夜中に口が渇いて目が覚める」
といった経験がある方は、生活習慣を見直すサインかもしれません。
4. 唾液の分泌を促す生活習慣
以下のような対策が効果的です。
ストレスを溜めない:副交感神経の働きが唾液分泌に関与します。
よく噛んで食べる:1口30回を目安に。
水分をしっかりとる:1日1.5Lを目標に。
口呼吸を避ける:鼻呼吸を意識して。
唾液腺マッサージ:耳下腺、顎下腺をやさしく指で円を描くように刺激。
5. こんな症状があれば要注意!専門医への相談を
ドライマウスは放置すると、虫歯や歯周病の進行だけでなく、誤嚥性肺炎や全身疾患との関係も報告されています。症状が続く場合は、歯科医院で相談することをおすすめします。
【まとめ】
唾液は、私たちの口の中と全身の健康を守る大切な存在です。食事、生活習慣、ストレス管理を見直しながら、唾液の力を活かして健康維持に役立てましょう。