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院長ブログ
親知らずが痛い・気になる…抜くべき?残すべき?後悔しないための正しい知識
はじめに:親知らず、放置していませんか?
「なんだか奥の歯が痛い」「親知らずが斜めに生えてきている気がする」
このようなお悩みを抱えている方は少なくありません。特に30〜60代の女性にとって、仕事や家事・育児で忙しい中で歯のトラブルはできるだけ避けたいものですよね。
この記事では、「親知らず(智歯)」が引き起こす問題や抜歯の必要性、気をつけたいポイントをわかりやすく解説します。
親知らずとは
親知らずとは、大臼歯の中で最も後ろに生えてくる歯で、第三大臼歯、智歯とも言います。親知ら永久歯は通常12〜14歳で生え揃いますが、親知らずは20代頃に生えることが多く、親に知られることなく生えてくる歯であることがその名前の由来だとも言われています。
親知らずは一番奥に生えてくる永久歯で、通常は上下左右に1本ずつ、合計4本存在します。しかし、
- まっすぐ生えずに横や斜めになる
- 歯ぐきに一部だけ埋もれる
- 生えてこない(埋伏歯)
など、正常に機能しないケースが多くあります。
なぜ痛くなるのか?
- 歯ぐきが腫れる(智歯周囲炎)
- 隣の歯を圧迫して痛みが出る
- 虫歯になりやすい場所に生える
このような理由で痛みや炎症を引き起こすことがあります。
親知らずを「抜くべき」ケースと「抜かなくてよい」ケース
抜歯をおすすめするケース
- 痛みや腫れを繰り返す
- 手前の歯(第二大臼歯)に悪影響がある
- 歯列矯正を予定している
- 虫歯や歯周病が進行している
抜かなくてよいケース
- 正しい方向に生えていて咬み合わせに参加している
- 完全に骨の中に埋まっていて症状がない
- 全身疾患などで外科処置のリスクが高い場合
※特に高齢になると骨が硬くなり、抜歯のリスクが上がるため慎重に判断する必要があります。
移植歯として使える
どこかの歯が抜歯された場合、条件が良ければそこに親知らずを移植するという治療方法があります。
親知らずを残したときのデメリット
虫歯になりやすい
歯ブラシがどうしても届きづらいため、虫歯になりやすいです。親知らずだけでなく、その手前の歯まで虫歯にしてしまう可能性があります。
腫れやすい
特に生えかけの親知らずは歯磨きがうまくできないため、親知らずの周りの歯ぐきが炎症を起こしやすいです。この状態を放置していると、親知らずの周りの骨も徐々に溶けてしまいます。歯槽骨は他の歯と共有しているので、親知らずがあることによって、手前の歯まで歯周病になってしまうこともあります。

抜歯したときのメリット
親知らずを抜くことにより、歯磨きをしやすくなり、虫歯や歯周病になるリスクを減らすことができます。親知らずが虫歯になったり歯周病になった場合は抜歯すれば解決しますが、親知らずがあるせいで一生使う必要がある第二大臼歯まで虫歯や歯周病になるのは、とてももったいないことです。親知らずを抜くことで第二大臼歯を守ることができます。
抜歯したときのデメリット
術後に腫れや痛みが出ることがある
抜歯をしている間は麻酔をするため、痛みを感じることはありません。しかし、麻酔が切れた時に痛みが出ることがあります。歯科医院から処方される抗生物質、痛み止めを用法・用量を守って服用しましょう。
術後の注意点
- 腫れや内出血、痛みは2〜3日続くことがあります
- 抜歯後はうがいを控え、清潔を保ちましょう
- 抗血栓薬を内服中の方は、抜歯の可否を医師と相談しましょう【参考:抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン2020年版】
親知らずの抜歯、女性ならではの注意点は?
妊娠・授乳中の抜歯は原則延期
安全のため、妊娠中・授乳中の抜歯は基本的に避けるべきですが、緊急性がある場合は産婦人科と連携して対応します。
更年期と骨粗鬆症
ビスホスホネート製剤を使用中の場合、顎骨壊死のリスクがあるため、事前に医師との連携が必須です。
まとめ
親知らずは、必ず抜かなければいけないわけではありません。
例えば、親知らずが骨の中に完全に埋まっていて、生えてくる見込みのない歯を無理に抜くのはかえって体への負担が大きくなります。
抜くべきか、抜かないべきかはそれぞれの親知らずによって違います。親知らずの生えている方向や位置などをレントゲンやCTを撮って総合的に診断する必要があります。歯科医師とよく相談した上で決めましょう。
親知らずを残すなら、将来移植に使用できたり、ブリッジや入れ歯の土台として使えるかもしれません。しかし、むし歯や歯周病の原因となることもあります。抜くべきか、抜かないべきか歯医者さんと相談してみましょう。
箕面市小野原西4−10−40 江口歯科医院