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院長ブログ
歯の病気は虫歯だけではない ~歯周病のやさしい基礎知識について~
時々、「歯医者さんは痛くなったらいくところ」と考えておられる患者さんが来院されます。虫歯が痛み出すのはかなり放置していないと起きない症状です。また、歯がなくなる病気は虫歯だけでなくて歯周病という病気も歯がなくなる大きな原因の一つです(虫歯が45%、歯周病も45%くらいです)。
歯周病は、大人の約8割がかかっているといわれる身近な病気です。
放置すると歯を失う原因になるだけでなく、糖尿病や心疾患、脳梗塞など全身の健康にも悪影響を及ぼすことがわかっています。
この記事では、歯周病の原因、症状、そして家庭でできる予防法まで、わかりやすくご紹介します。
歯周病とは?
歯周病は歯の周りの歯ぐきの腫れや歯を支える骨が溶ける病気です。実は歯周病は適切な治療とメンテナンスを行えば進行を抑えることは虫歯の予防よりも比較的簡単な病気でもあります。初期のうちに治療やメンテナンスを受けていれば、年をとっても自分の歯でおいしく食事ができる可能性はかなり高まります。
歯周病は大きく分けて以下の段階に進行します。
- 歯肉炎:歯ぐきだけが炎症を起こしている状態
- 歯周炎:炎症が歯を支える骨にまで進行している状態
歯の喪失の大きな原因となる病気である
歯周病は日本人の成人の80%がかっている病気です。歯周病とは歯ぐきの周りの歯垢(プラーク)の中にいる歯周病菌によって起こります。歯周病を放置すると歯を支える骨が溶けて歯が揺れたり、歯茎が腫れたりして、最終的には歯が抜けてしまう病気です。初期の段階では症状が無いので’症状に気づいたときには大きく進行していることもある病気です。
歯周病の原因
お口の中にはおおよそ500種類の細菌が住んでいます。
これらの細菌は普段から清潔にしていればあまり悪いことをしませんが、ブラッシングが充分でなかったり、みがき残した部分があると細菌がネバネバした物質を作り出し、歯の表面に歯垢(プラーク)をつくって定着します。プラークは粘着性が強くうがいをした程度では落ちません。このプラーク1mgの中には10億個の細菌が住みついていると言われ、虫歯や歯周病をひき起こします。
歯周病とは、この歯垢(プラーク)の中の細菌によって歯肉に炎症をひき起こし、やがては歯を支えている骨を溶かしていく病気のことで、結果的に歯を失う原因となります。
また、以下もリスク因子として知られています。
間違った歯みがき習慣
喫煙
ストレス
加齢
糖尿病などの全身疾患
不規則な食生活
歯周病の症状チェック
次の症状に心当たりはありませんか?
- 朝起きたときに口の中がネバつく
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 歯みがきのときに出血する
- 口臭が気になる
- 歯がぐらつく
- かたい物が噛みにくい
これらは歯周病のサインかもしれません。
歯周病が全身に与える影響
最近の研究では、歯周病が単なる口の中の問題にとどまらず、全身の健康に影響することが分かっています。
特に注意したいのが以下の疾患です。
- 糖尿病:歯周病があると血糖コントロールが悪化しやすい
- 心疾患・脳梗塞:歯周病菌が血管に悪影響を与える
- 誤嚥性肺炎:高齢者に多く、口の中の細菌が原因に
- 早産・低体重児出産:妊娠中の女性にもリスクあり
健康な生活を送るためには、歯周病予防が欠かせないのです。
歯周病を予防するには?
毎日のセルフケアと、定期的な歯科医院でのプロフェッショナルケアが重要です。
セルフケアのポイント
- 正しい歯みがき:1日2〜3回、時間をかけて丁寧に
- デンタルフロス・歯間ブラシの併用:歯と歯の間もしっかり清掃
- バランスの取れた食事:栄養バランスを意識しましょう
- 禁煙:タバコは歯周病リスクを高めます
歯科医院でのケア
- 歯石除去(スケーリング)
- 歯周ポケットの管理
- プロフェッショナルクリーニング(PMTC)
- 歯周病の早期発見・早期治療
歯周病の治療で大切なこと
現在では歯周病は、予防でき治療も可能です。 進行した状態から治療を始めるよりも初期のうちから治療に取り組む方が負担も軽く、治療成績も良好なのが特徴です。
まず、歯周病の原因はプラークですので、歯の表面をプラークのない清潔な状態にしておく事が何より大切なことです。歯医者さんで正しい歯ブラシの使い方を教えてもらったり、磨き残しやすいところの磨き方を教えてもらいましょう。デンタルフロスや歯間ブラシ、ワンタフトブラシなど補助器具の使い方をマスターできると非常に効果的です。
歯ブラシなどのお家でできるケアは歯ぐきの上のプラークをコントロールすることはできますが、歯ぐきと歯の隙間に入ってしまった細菌を取り除くのは歯医者さんの仕事です。歯医者さんで歯ぐきの隙間の歯石を取り除いて、根の表面を滑らかにして炎症を引き起こす細菌を徹底的に除去してもらいましょう。
歯周病は一度の治療で完治するものではなく、治療が終了してからも定期的な管理が必要です。毎日のブラッシングと合わせて、歯科衛生士による専門的なクリーニングなどのメインテナンスを定期的に受けましょう。
まとめ
歯周病は、自覚症状がないまま静かに進行します。
毎日のセルフケアに加えて、定期的に歯科医院を受診することで、健康な歯と体を守ることができます。
「最近歯ぐきが気になるな」と感じたら、どうぞお早めにご相談ください。
箕面市小野原の江口歯科医院では、皆さまのお口の健康を全力でサポートしています。